こんにちは。青砥美穂です。
今日のテーマは、「失敗への恐れが心を支配する時、一緒にやってみたい3つのこと」です。
子どもに限らず、「失敗」は多くの人が恐れることです。と同時に、私たちは、失敗を経験することなしに成功にたどり着くことが難しいことも知っていますよね。
それでは、なぜ私たちは、こんなにも失敗を恐れてしまうのでしょうか。
多くの場合、それは、私たちの日常で私たちの意識が「結果」だけに向きやすいからではないでしょうか。
私は、幼い子どもたちとたくさん時間を過ごしてくる中で、とっても素敵なマインドに出会わせてもらいました。
それは「ナイストライ!」(挑戦したことが素敵!)というマインドです。
子どもたちは、日々無数の価値ある「トライ」を繰り返し、すごい勢いで成長していきます。ミルクを上手に吸うことに始まり、寝返り、ハイハイ、歩行など、一日を通して観察していると、休むことなく挑戦しているようにさえみえます。そして当然、最初はうまくいかないことなんて当たり前、失敗の連続です。それでも、トライし続け、見事にできるようになっていきますよね。
そんな乳幼児たちと一緒にいるとき、日々みんなでかけさせてもらっていた言葉が「ナイストライ!」でした。
この「ナイストライ」という言葉は、結果ではなくプロセスに光が当たるとっても素敵な言葉だと思っています。
「ナイストライ」という言葉のもとでは、トライ、挑戦することが価値であり、結果がうまくいこうがいくまいが関係ありません。
考えてみれば、どんな立派な成功も、ものすごい数のナイストライと失敗の積み重ねからきていますよね。トライすることはものすごく価値があることだとみんな本当はわかっていますが、そこに光を当てて讃える機会が少ないように感じます。
みなさんは、いかがでしょう。ご自身やお子さん、生徒さんたちのプロセスに光を当てて讃えるということを日常の中でされていますか?または、誰かにしてもらっていますか?
もしここにもっと光が当たって讃えられていたら、失敗を恐れる気持ちよりも、挑戦を楽しむ気持ちがぐんぐん育っていくかもしれません。
そんなとき「ナイストライ!」の言葉や精神が活躍するのではないでしょうか。
私たちは、ついつい日常の中で「結果」に囚われてしまいがちです。しかも、そのとき求めてしまう結果というのはポジティブな結果である「成功」です。もちろん結果も大切なのですが、成功にばかりスポットライトが当たってしまい、成功しないと周りも含めがっかりしてしまうというのは、失敗を恐れ、挑戦を遠ざけてしまう心をつくり出しやすいと思います。それさえ乗り越えて挑戦する気持ちを育みたい!という相談も受けますが、そのためにはその挑戦がよほど本人のやりたいことであるか、またはこういう状況から成功体験を積んだ経験がない限りは難しい可能性が高いです。最初は周りの反応が子どもの「トライ」に対する姿勢をつくりだす可能性が高いことに注目しておきたいです。
ある中学生の女の子が、相談をもちかけてくれたことがありました。
「私は、何か新しい挑戦をするのがとても怖いです。」と。
その子は、当時、英検を受けるかどうかで迷っていました。本当は受けてみたい気持ちがあるのだけれど、失敗した時周りに馬鹿にされたり、両親がとてもがっかりしたりするのが怖くて仕方ないと話してくれました。多くの人にとって似たような経験があるのではないでしょうか。彼女のケースは、特に大好きな両親を悲しませたという強い過去の記憶が挑戦に厚い壁をつくってしまっているようでした。ご両親は、心から娘さんを応援していらっしゃるのに、色んな意味でとてももったいない状況ができていました。
そこで、彼女と相談して取り組んだのは以下3つです:
① 結果ではなくプロセスに焦点を当てる(ナイストライ!)
② 成功ではなく成長に着目する
③ 成功したときに、その過程で味わった「楽しみ」や乗り越えた「試練」を振り返り価値づけをする(レジリエンスを育てる)
順番にみていきましょう:
① 結果ではなくプロセスに焦点を当てる(ナイストライ!)
まずは、結果ではなくプロセスに光を当てる。どんな成功も挑戦なくしては生まれない。だからこそ、まずやってみたいと自分が思っていることに挑戦(トライ)していること、そのプロセスを祝おう!と話し合いました。先ほどの「ナイストライ!」の精神です。ここでは、彼女が英検を受けたいと思っていたので申し込みをし、日々勉強をしているという事実、そこでついていっている力に目を向け、それを祝うことにしました。
② 成功ではなく成長に着目する
次に、成功ではなく成長をみることにフォーカスしました。実は1回目の試験は残念ながら合格することができず、失敗となりました。しかし、そのときに、合否の結果だけでなく、勉強を始めた頃の自分と比べて成長したところ、英語力に関して、勉強への姿勢に関して、挑戦への姿勢に関してなど成長したところに関する振り返りをしました。すると、英語力はもちろん、時間管理や恐怖心のコントロール含め、たくさんの成長ポイントをみつけることができました。それをノートにまとめ、英検受験というプロセスを通じて合否以外のたくさんの成長ポイントがあったことを祝いました。
③ 成功したときに、その過程で味わった「楽しみ」や乗り越えた「試練」を振り返り価値づけをする(レジリエンスを育てる)
彼女は2回目の受験で、ついに合格を手にしました。本当によく頑張りました。ですが、ここが大切なポイントです。はい、おめでとう!で終わらせるのではなく、すかさずこのハッピーな気持ちと共に、ここにたどり着くまでのプロセスで味わった「楽しみ」や乗り越えた「試練」の振り返りをしました。
頑張る自分のことをご両親がすごく応援してくれて大好きなおやつを部屋にもってきてくれたこと、勉強時間を決めてやり遂げると自分を誇らしく思えたこと、英検でやっていた問題が学校の授業にも出てきて嬉しかったこと、思い出しながら彼女の顔には笑顔が溢れていました。
また、最初は挑戦が怖くて怖くて仕方なかったこと、勉強をやりたくなくて布団にもぐった日もあったこと、1回目落ちてしまってやはり落ち込んでしまったことなども振り返りました。それでも諦めなかったからこそ今日に辿り着いたんだなあとしみじみ語る姿も印象的でした。
最後に彼女は、恐怖を乗り越えること、失敗することの2つの価値について学べたことが合格よりも嬉しいと話してくれました。レジリエンス、乗り越えていく力は、落ち込んでいるときではなく、こうして成功したときにその価値を知ることでさらに深まっていきやすいですよね。
こんなふうに、プロセスの大切さや楽しさ、成功より成長に目を向けること、恐怖や失敗を乗り越える価値を学んで行けたら、挑戦することがどんどん楽しくなり、周りの人がどういうかも次第に関係なくなっていくことでしょう。そして、今良くいわれる大切な「レジリエンス」も育んで行けそうですね。
みなさんもよろしければこの3つのステップ、お子さんや生徒さんと一緒に使ってみてください。
実は、私も夫と一緒に娘への合言葉の一つを「ナイストライ!」にしています。余裕がないとついつい違う言葉をかけそうになりますが(やはり、母親としての自分は別人。。大汗)、自分のバロメーターとしてもこの言葉が役立ってくれています。そして、上記の3つのステップに関しても、自分自身、子どもたち、生徒たちとも大切にしたいと思っています。
お読みいただきありがとうございました。
続いて、脳神経科学からの音声コメント(あおとのぉと)はこちらです:
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