自分を知る、他者を尊ぶ:DAE Letter, June, 2017
自分の観察と洞察を習慣にする
DAncing Einstein(DAE)の行動指針(Code of Conduct)では、「自分の観察と洞察を習慣にする」というコードが最初に示されています。
ヒトにとって、1番身近なヒトは自分自身です。使い古された表現ですが、ヒトは自分自身のことが意外とわかっていません。なぜ自分は人前に出るとあがってしまうのか?最近イライラしているのはどうしてだろう?もっと記憶力が良ければいいのに…。
例えば「あがり症」というのも、とっても素敵なヒトの性質です。あがり症の方は、「なぜ自分はあがり症なのか?」、「緊張しているってどういう状態なの?」という、ヒトを知るための大切なテーマを身近で感じて、もっとヒトを楽しむ機会を持っていると捉えることもできます。
DAEはヒトがヒトを理解し、もっとヒトを楽しむための方法として、主に神経科学というアプローチを用いています。今回は、DAEが実践する「自分の観察と洞察」について、少しご紹介したいと思います。
感情ってどれくらいの種類があるの?
「神経科学」というアプローチの説明の仕方はいろいろありますが、
脳、および心を記述するための自然科学アプローチの1つである。
という捉え方がシンプルなように思います。もう少し詳しく言うと、「神経系を分子・細胞の機能、知覚・運動・学習システムなどのメカニズム、認知・心理の発生機構という観点から研究」するのが神経科学という学問です。
なんだか難しいですね…。要するに、「頭とか心とかってなに?」という問いに対して、身体中を巡っている「神経」について研究することを通じて答えようとするのが神経科学です。特に「脳」は重要な働きを占めるので、「脳神経科学」という言葉で表現されることもあります。
例えば、「感情ってどれくらいの種類があるの?」という問いに対しては、DAEでは現時点では210パターンの分類をし、具体的な応用を試みています。(下図の大きな分類に加えて、強度や向きといった要素を加味して分類しています)
「210パターン」というのは、あくまでこれまでの学術研究と現実的な応用・分析を考慮して、現時点で用いている仮説であり、DAEではこの仮説を元に、
- 日々の生活の中での感情記録と仮説の照合
- 感情を表す言葉(主に日本語・英語)の研究
- f-MRI(脳活動の可視化技術)データを用いた共同研究の模索
などを進めています。
自分を知れば、他者も見えてくる
難しい話はさておき、毎日、生活をしているといろいろなことを感じます。嬉しくなったり、悲しくなったり、怒ったり、泣いたり…。こういう1つ1つの感情が発生するとき、脳の中ではきっと何かが起きています。
そして、その感じ方は人それぞれです。同じ場面に遭遇しても、何も感じない人もいれば、とっても悲しくなってしまう人もいます。昨日はなんでもなかったのに、今日は妙に嬉しく思える。そんなこともあるでしょう。
DAEでは、そういう日々の感情やエピソードを記録して、自分自身の感情をもっと知ることを推進しています。企業研修やDAFLなどではすでに実施し、データを取得していますが、もっと手軽に、たくさんの人に「自分を知る」きっかけを提供したいという想いから、感情の可視化プロジェクトを進めています。
プロジェクト名称は「DAppy(ダッピー)」!DAEらしく、いろいろと妄想しながら推進中です。具体的な「感情記録プラットフォーム」の初期システムも形が整いつつあるので、また近い内にご報告できればと思っています。
自分を知ることは、他者に対する理解も深めてくれます。あなたの周りにも、「どうしてあの人は、あんなことを言うのだろう?」と感じてしまう人がいるかもしれません。しかし、その人も、その人の脳で、何かを感じているはずです。
感情やエピソードの記録は「自分の観察と洞察」の一部です。洞察の方法についても、内省やプレゼンテーション、ディスカッションなどを取り入れて、実験を進めています。
もしご興味があれば、DAEが開催した「感情レクチャー」の様子もご覧ください。